2005年度 US GO Congress 紀行( 囲碁大会編 )

[大会概要]

1.大会名称 : 21st US GO CONGRESS

2.実施期間 : 8月6日~8月14日

3.大会会場 : Pacific Lutheran大学 in acoma, Washington


Lutheran大学所在地のタコマ市は、人口約20万人の都市でシアトルの南に位置し、

シアトルから距離にして約80Km、車で約50分要する。

旅行ガイドブックをいくら紐解いても、タコマ市につて触れた箇所は見当たらない。

ご記憶の方もあろう、何と国会で神奈川県の座間市への移転が取りざたされている

米陸軍第一軍団司令部がタコマ市の近郊に所在している。

例の9.11テロ勃発後、タコマ市にある全長1.8Kmの吊橋も厳戒警備が敷かれた

曰くつきの都市でもあった事を出発直前に知った。

しかし、大学は軍とは無縁の市の郊外にあって巨木の樹林に覆われたキャンパスは

我々の心を和ませるのに充分な環境を誇っていた。

本大会参加者の内訳は次の通りである。


全参加者  : 457名 ( 子供付き添いの家族、、etc 含む )

Player  : 360名

プロ棋士   : 16名

アマ高段者  : 58名 ( 5段~9段 )

日本人    : 51名 ( プロ棋士:5名含む )

その他外国人 : (カナダ:24、ヨーロッパ:6、中国プロのみ:3、韓国プロ:2、韓国アマ:1)


我が参加メンバーについて

関西組3名、関東組3名の計6名と東西バランスのとれた構成となる。

関西の3名(鈴木さん、井畑さん、木村さん)は共に滋賀県在住で、プロ棋士に3子で指導を

仰いでいる囲碁仲間で、木村さんのみIBM出身。

しかも、参加者6名の年齢がS13~S17生まれと拮抗し、気楽に共通の話題に興じることが

でき、旅行期間中の雰囲気を和ませる要因の一つとなった。


<メンバーのプロフィール>

鈴木 常之 :2005年のネンリンピック囲碁の部で滋賀県代表。本大会で唯一人3位入賞を果たした実力者。
井畑 充弘 : 滋賀県囲碁十傑のランク入り。一位は、何と朝日アマ十傑戦を制したアマ本因坊の田中伸拓氏で、その点からも実力の程が知れよう。
木村 博 : 鈴木・井畑の両氏へ定先で打ち、プロ棋士との指導碁では3名中、一番勝率が良いとの事。並の実力でない。
高本 正 : IBM関東囲碁部で高段者としての活躍は周知の事実であり、関西組3名と対等の実力者。
兵藤 進 : 囲碁の実力はさて置き、ホテルの予約やスケジューリングに至る交渉力において全員が一目どころか3、4目置く有能な報道官的存在。
國吉 房成 : 筆者。凡庸で特筆すべきことなし。

[チェック・イン]

シアトルからタコマへの途中、交通事故による大渋滞に巻き込まれたものの、会場へ17時頃

到着し事なきを得る。そして直ちに登録手続きに入る。

しかし、何の因果かここでも私だけがネーム・バッジやロゴ入りT-シャツの記念品一式が見つ

からず仲間から失笑を買う。(実は、カリスペル空港でも私のトランクが紛失し、二日目の夕方に

なって手元に戻ったパニックを体験したばかりだった。)

皆さん誇らしげに首にネーム・バッジをぶら下げているのに、何とも首周りが淋しく悲哀が滲む。

明日中には何とか手配するとのことで話しがつき、取り敢えず部屋番号176のキーをもらい

旅装を解くことにした。

木村さんと相部屋となり、彼とトランクを引きずりながら3階建ビルの学生寮に着いて、ドアを

開けると部屋番号171が目に入り、その廊下を部屋順に辿ると、何としたことか当然あるべき

部屋176が見当たらない。その廊下は部屋175で行き止まりになっているではないか。

二人して狐につままれた気分に陥り、廊下という廊下を必死になって探すも忽然と消えたが如く

皆目分からない。 因みに、郵便受けはと見れば、175番の隣に176番が誇り顔で神妙に

鎮座している。

益々混乱し、米国人のすることだから2階又は3階の一角ににあるかもと探すも徒労に終わる。

諦めて、会場本部の事務局に赴き事情を話すと、「ああ、そうですか。では355番の部屋を使って

ください。」 あっさりしたものである。

日本だと、そんな筈はない、私がご案内しましょう。となるのだが....

部屋は、木製のベッド、木製の机、机上の本棚、4段引出しと全て木製づくしで質素このうえない。

廃品にだしても誰も引き取り手のない代物である。

私は部屋に入って一瞬たじろいだが、ガッカリするどころか何時の間にか米国流にエールを

送っている自分に気づいた。学生だから、これで充分なんだと...

[対局初日] August 7th

9時開始、オープニングで主催者代表(多分、権威のある方でしょう)の挨拶の中で、囲碁

国際化へ情熱を尽くした故岩本薫プロの功績を讃える言辞があり、日本人として誇りに思う。

オーガナイザーの面々の紹介後、本大会のイベントや大会ルール等について一通りの説明が

あったが、残念ながら私の英語力では内容を充分理解できなかった。

大会資料によると、我々6名がエントリーしたUS OPENの他に、碁のレベルや年齢に応じた

ゲームが幾つか準備されている。

例えば、男女ペア碁大会を初めとして9路盤や13路盤の初心者向けの大会やMidnight Madness

といった深夜晩くまで碁が楽しめる碁狂いのための大会が物語るように、要はこの大会に参加した

からには退屈する暇などありませんとの趣旨の企画が満載されている。


US OPENについて簡単に紹介すると、

5段以上は高段者クラスと称し、テレビカメラが据え付けられた特別室で対局する栄誉に浴する。

所謂、VIPルームであり、我々仲間では鈴木さん、井畑さん、高本さんの3名がその栄誉を存分に

享受した。

4段以下は大部屋の会議室で、下は24級クラスまで一同に会して壮観ともいえる雰囲気の中で

対局と相成る。

持ち時間は、4段以上が2時間、3段以下が1.5時間で、おまけに秒読み50秒4回まで許され

5回目に50秒をきるとTime Outとなり即負けとなる。

コミは7目半で、このルールだと白を持ちたい気分になる。

対局初日は、オープン・セレモニーがあったせいか、開始時間が大幅にi遅れ10時頃になって

やっと対戦相手が壁に張り出された。

ランクに応じて席も決まり、対戦あいてはHaskell Small 3段でワシントンDCから来たとの

こと、しかも9年連続参加のGO Madnessと話しているうちにちょっとビビッテしまう。

彼は対局時計のセッティングは手馴れたもので秒読みのセットを含めてアット云う間に終えた。

いざ対局開始となり、中盤から終盤にかけて大石の死活問題に直面する読み比べは、私の方に

活路が開け、中押しで勝利を手中にできた。

初日の結果は、木村さんが星を落とした以外、他は全員白星スタートとなった。

私は、我々の仲間から優勝者がでるとしたら、木村さんの可能性が大と踏んでいただけに初戦に

躓いたのは残念でならなかった。 本人もその思いが強かっただろうと胸中を察する。


午後のセッションは、自由時間にしようという事になった。

昼寝で旅の疲れを癒やすのも良し、溜まった洗濯物を洗うのも良し、相手を見つけて碁を打つ

のも良し、と云った具合で個人の裁量に委ねることになった。

想像に違わず、夕食後は成田を飛び立つ時からコツコツ消化している2回総当りリーグ戦を

全員6名で打つ羽目になったことは当然の帰結かも知れない。

あっ!、そうそう肝心な事を忘れていました。

その日、兵藤さんから牛 飛飛(Feifei Niu)さんを紹介されていました。彼女はレドモンド9段の

義妹で、丸顔の色白の美人で、しかも明日の午後予定のMt Rainier(マウントレニエ)観光に

同行することになった。私は素直に喜び、その余韻をそっと胸に深い眠りに入った。

[大会2日] August 8th

冒頭に訃報のお知らせがあり、今回のUS Congressに尽力されたオーガナイザーの若い

23歳の青年が昨晩亡くなったとのことで、スタッフの皆さんは鎮痛の面持ちで会場に臨まれて

いたのが強く印象に残った。

その為とも思えないが、何故か対局開始が遅れ10時スタートとなる。

私の対局相手は、孫ほど年齢差のある12歳のZhou William君 と決まった。

アジア系米国人でシカゴからグループで参加している中の一人で、前日午後のセッションで

プロの多面打ち指導碁を4子で果敢に挑んだいたその少年の顔と完全に一致する。

ちょっとヤバイと一瞬思ったが、蹲踞の構えで胸を出し堂々と受けて立つことにした。

私の白番で、中盤まで一進一退のまま進み、寄せの段階で彼に決定的なミスがでて、かろうじて

勝利をものにできた。 勝利を拾ったと言った方が正しいのかも知れない。

こちらは2連勝である。顔がニヤけるとか挙措動作に何らかの形で表に出るものらしい。

正に余裕である。突然仲間のことが気になりだす。

周りは多くの組が真剣に碁を打っている。木村さん、兵藤さんもしかりである。

そっと後ろから戦況を覗くと、両方共に形勢が良く勝利を待つのみの局面だった。

特別室の3名は、咳一つできないピーンと張り詰めた空気の中での対局と聞いていたので、

ドア開けるのを躊躇し、入る勇気がなく直接局面を確認できなかった。

結局、井畑さんと高本さんが星を落とし、他4名は白星を勝ち取る。

ただ残念なのは、皮肉にも同士討の対局(鈴木 vs 井畑)が組まれ、井畑さんが星を落とす

結果となった。


さて、お楽しみな午後のマウントレニア観光とまいりましょう。

勿論、飛飛さんも同行と相成った。ガサツな高齢者軍団に綺麗な独身女性が一人加わったこと

で、車内が清冽でまろやかな空間に醸し出されたのである。

目指すは、レニア山麓のパラダイスである。碁会場から約2時間弱の行程で、標高1647M

位置し、周辺は花畑に満ちていて、レニア山塊(4394M)の威容が迫る。

レニア山は富士山よりかなり高い独立峰で、見る角度によって富士山に似た雄姿を曝す一方、

パラダイスからの山容は円錐型とはほど遠く猛々しさを呈する山塊に過ぎない。

ビジターセンターとロッジがある一帯は、まさにその名に相応しい山上のパラダイスと云えよう。

暫く散策タイムを設けて高山植物の草花を観賞する。

日系人の佐藤さん(シアトル在住歴30年)の話しによると、点在している氷河は30年前に比べて

確実に1.5KMは後退していると実体験を基に語っておられた。

温暖化現象は、地球の至る所で牙をむき出し、本性を現している。

京都議定書が米国で一刻も早く批准されんことを祈る所以だ。

[大会3日] August 9th

事務当局も運営に慣れてきたようで、9時には組み合わせ表が壁に張り出された。

急ぎ席に駆け込むと、知的な顔の米国人が笑顔で迎えてくれた。

しかも、流暢な日本語で名詞を差し出しながら宜しくとのたまう。

何と、日本大学法学部教授 JOHN B.POWER  が否応無く目に入る。

目を凝らして眺めても、日本大学法学部教授 に間違いがない。

戦う前に機先を制されたようなもので、案の定、私の打つ手打つ手が悪い方向に傾き中押し

で完敗をきす。

POWER先生は日本滞在歴20年で、普段は日本棋院で腕を磨いているとのことである。

兵藤さんも面識があり、CONGRESSでは名を馳せた御仁とお見受けした。

気になる仲間の結果は、3日目にして連勝が消え、奇しくも全員が2勝1敗となる。


午後は、自由時間とし、仲間内の第二ラウンド・リーグ戦を最優先に当て、その空きを見ては

大型スクリーンに映された高段者ランク上位の対局(プロ棋士の解説付き)を漫然と眺めたり、

各自思い思いに時間を過ごす。

[DAY OFF(対局なし)] August 10th

参加者向けに多様なオプショナル・ツアーが組まれて参加を募っている。

シアトル観光旅行から、セントヘレナ活火山、マウントレニア山、、等に至るまで豊富な観光ルート

が紹介されている。

我々は別行動をとり、バンクーバーへ兵藤さんの長野オリンピック時代のお友達を訪ねることに

した。 勿論、市内観光を兼ねての上である。

また、井畑さん一人は更に別々行動で、親戚を訪ねてシアトルから空路バンクバーへ2泊旅行

とシャレ込む。彼は全てにおいて徹底して入れ込む性格のようで、今回のバンクーバーでのゴルフ

も80台半ばで回ったとのことでした。

さて、我々5名は兵藤さんのナビで約4時間30分かけてダウンタウンに着くも中心街で渋滞に

巻き込まれ立ち往生する。兵藤さんが携帯でお友達へ連絡をとり、彼に我々の方へ来てもらい、

車の先導をお願いして、何とか渋滞から抜けでることができた。

なかなかの好青年で、映画俳優顔負けのキリットしまった顔立ちで、特にサングラスが良く似合う。

名前は、Joe Ryan さんでカナダIBMのバンクーバー事業所でコンサルティング部門で活躍

されていて、しかもカナダお気に入りときてバンクバーの良さを吹聴されていたのが印象に残った。

一般に米欧人は接待に淡白と聞いていたが、彼はその先入観を払拭するような気の使い方で

我々を持て成してくれた。

市内観光ドライブの途中、彼の家へ立ち寄る。家はダウンタウンから車で約20分の閑静な場所

にあり、しかも豪邸ときている。裏庭は小高い丘もあって巨木も散見される。敷地がどれほどの

広さか聞きそびれる。なにしろ取得価格が1億円もしたというから尋常な驚きでは済まない。

30歳半ばの青年のやる事とは、とうてい思えない想像を超えた快事である。

裏庭の一角のテーブルでビールで喉を潤し、豪邸を後にする。

彼とはここでサヨナラと思いきや、トコトン付き合うというのである。

最初予定していたウオーターフロントから対岸に聳える山へのドライブは、あいにく頂上が雲に

覆われていたため中止とし、スタンレー公園の一周ドライブと海岸の散策を楽しむ。

海を眺めているとき、何と彼の奥様が6才、3才のお嬢さんをつれてわざわざ我々というか

兵藤さんへ会いにきたのである。二人とも実に愛くるしいキュートなお嬢ちゃんである。

長野アリンピック・プロジェクト担当している時は、まだお子さんは授けられてなく、その点でも

兵藤さんは感慨深いものがあったに違いない。

Joeさんには本当にお世話になった。 昼食の寿司、夕食のピザと全て彼のおごりで、その上

別れしなに、奥様が名産シロップの中瓶をお土産にとソット差し出す至っては、ただただ恐縮する

ばかりである。

Joeさん夫妻の誠意のこもった親切なもてなしは、兵藤さんの行為そのものの反映であることに

気付いた。兵藤さん独特の誠実み溢れるキャラクターは天性のものがあり、私の羨む点でもある。

兵藤さんへ改めて感謝申し上げたい。

感謝と云えば、まず忘れていけない木村さんがいました。

タコマとバンクーバー間は東京ー名古屋間の距離に相当し、しかも往復を一人で運転されたの

だから肉体的にも精神的な面からも疲れがピークに達しただろうと推察される。

明日からの対局に影響がなければと念じつつ、木村さんへも改めて感謝申し上げたい。

会場へ着いたのが深夜24時近くで、碁会場を覗くとMidnight Madnessとおぼしき約30名の兵が

真剣な眼差しで碁に興じている。正にMadだなーと感じ入りながら部屋に向かった。

[大会4日] August 11th

対局相手は、日本棋院大分東支部の竹内一光4段で、碁会所を経営されている方である。

対局は淡々と進行し、終わってみれば私の勝ちといった内容の碁だった。

他はどうかと見れば、木村さんと兵藤さんが同士討ちの碁にまなじり決して戦っている。

局面は拮抗し、最後は木村さんが2目勝ちを収める。

兵藤さんの悔しがりは並でなく、仲間内のリーグ戦を含めると木村さんに5連敗とか。

結局、その日は鈴木さん、高本さんも敗れ大会4日にしての成績は以下の通りとなる。

鈴木常之    2勝2敗

井畑充弘    2勝1敗 ( 1日休み )

木村 博     3勝1敗

高本 正    2勝2敗

兵藤 進    2勝2敗

國吉房成    3勝1敗


午後は、昨日のバンクーバーの疲れをとるため、団体で行動を取らず自由時間に当てる。

鈴木さんは中国系のMingjiu Jiang プロ7段に3子で果敢にチャレンジ。

兵藤さんは相変わらずで、何時の間にか格好の女性を見つけ、ペア碁大会に臨んでいる。

木村さんはと辺りを見れば、前々日から気になっていた兵庫県から一人参加の貴婦人と

紳士ぜんとした顔つきで、フリー対局を楽しんでいる。

相手は、端正な高貴な顔立ちの女性である。木村さんの顔も普段我々に接する時の顔と

明らかに違う。どのようにアプローチしたのか大いに気になるところだ。

私の方は、東京都府中市から一人参加の中田初段に声をかけられフリー対局を楽しむ。

打っている最中、中田氏から今回、日本棋院から派遣されている中山典之プロ6段の著書

「実録囲碁講談」は必読の価値ありと薦められる。

たまたま指導碁の終わった先生にその本についてお伺いすると、何と2部手持ちがあると

おっしゃるではないか。有無を言わさず10ドルで譲ってもらう。

夕食後、会場内のBOOK STOREに立ち寄ると英語版の中山先生著の「The Treasure Chest

Enigma 」が目に入る。表紙を捲ると Translated by John Power となっている。

三日目に対局した大学教授ではないか。格好の記念にと購入を決め顔を上げると、何と

目の前に当人のPOWER先生が立って居る。チャンスを逃す手は無いと先生に直筆で直接

本にサインお願いして高価な買い物(55ドル)に一役買ってもらう。

[大会5日] August 12th

対局相手は、カナダのビクトリア出身のCazelais Gills 4段に決まる。 

私の黒番で、中盤までかなり優勢に進めていたが、相手の大石を自分の地の方に追いやって

生きられてしまった。結局コミが出ず4.5目差で敗退をきす。

木村さんは大会場の最上席53で対局している。今日勝つと、明日はVIPルームでの対局が

可能となるランクである。しかし惜しくも敗退し、特別室での対局が夢と消えた。


大会5日までの成績は、以下の通りである。

鈴木常之    3勝2敗

井畑充弘    2勝1敗 ( 2日休み )

木村 博     3勝2敗

高本 正    2勝3敗

兵藤 進    2勝3敗

國吉房成    3勝2敗


午後は、最も楽しみにしていたMLBシアトル・マリナーズの観戦である。

メジャーリーグで最も美しい球場と云われているSAFECO FIELDは、噂にたがわず実に

素晴らしい感動的な球場だった。イチロー選手の活躍も目の当たりにし、結構尽くめの夕刻の

ひと時を過ごせた。惜しむらくは7回の裏イチロー選手が敬遠され、後続打者が凡退し4対4の

スコアで球場を後にしたことで、帰り時間のこともあり止む得ぬ決断となった。

[大会6日ー 最終日] August 13th

対局相手は、日本人の湯山さんに決まる。

私の白番で、6.5目差の勝利で最終局に華を添える。

高段者の同士討ちとなった井畑さんと高本さんの対局は、高本さんに軍配が上がる。


最終成績は、以下の通りである。

鈴木常之    4勝2敗

井畑充弘    2勝2敗 ( 2日休み )

木村 博     4勝2敗

高本 正    3勝3敗

兵藤 進    3勝3敗

國吉房成    4勝2敗


負越しが無く、ヤレヤレの結果で大会を終えた。

意外だったのは、皆さんが異口同音に國吉は3段で大健闘したと讃えたことだった。

私に言わせると、意外でも何でもなく当然の結果として受け入れている。

初日から2連勝したときは、優勝スピーチの出だしを「I'm very happy to have an opportunity..

で行こうとチョッピリ悩んでいたとは、全く目出度い男に違いないことだけは素直に認める。


午後は、各自思い思いに時間を使うことにする。

私は中山プロ6段の講演を聴くことにした。通訳は初日オープニングで日本語で説明されていた

フランク・福田氏である。軽妙な通訳振りで、ジョークに至っては中山先生の話内容より、英語

での説明の方が巧妙に補足され面白味も伝わり、通訳の妙技を改めて再認識させられた。

6:00PMから、Awards Banquet が野外で執り行われる。所謂、表彰式と宴会である。

この晴れ舞台で、我が鈴木さんが5段の部で見事3位入賞を果たし表彰された。

鈴木さんは、今回の旅行期間を通して行った仲間内の2回総当りリーグ戦でも、2回とも優勝して

おり安定した実力は衆目の一致するところだ。

3位入賞改めておめでとうございます。

表彰式は延々と続き、8:00頃やっとお開きになる。

我々は2次会と称して、井畑さんが行きつけの中華レストランで鈴木さんの入賞とお互いの健闘を

祝して、乾杯の雄叫びでCONGRESSへ惜別をつげた。


[エピローグ]

感動を一杯もらった7日間のお祭りだった。皆さんが満足げな顔つきで会場を後にしたのが

強く印象に残った。

一つ残念に思ったのは、アジアからの参加は日本以外、韓国アマ一人だったことで、ヨーロッパ

碁コングレス(日本90名、韓国69名参加)に比べ一抹の寂しさは覆うべくもなかった。

今回参加の若いアジア系のグループは、米国国籍を取得した人達で、多分韓国系が圧倒的に

多かったように思う。現在の韓国の囲碁隆盛がそのまま米国でも反映した典型的な例だと

思った。

世界の囲碁界を席巻している韓国に、日本の若者が一日も早く追いつき、追い越す日が来たらん

ことを願いつつ終局いや筆を擱く。


Appendix

旅行期間中、空き時間を利用して楽しんだ仲間内の2回総当りリーグ戦の結果は、次の通りである。

鈴木常之    6勝4敗(1回目) 9勝1敗(2回目) 

井畑充弘    6勝4敗(1回目) 4勝6敗(2回目) 

木村 博     5勝5敗(1回目) 7勝3敗(2回目) 

高本 正    5勝5敗(1回目) 5勝5敗(2回目) 

兵藤 進    6勝4敗(1回目) 3勝7敗(2回目) 

國吉房成    2勝8敗(1回目) 2勝8敗(2回目)


       ― 完 ―