US GO CONGRESS 紀行( 観光旅行編 )
正に垂涎の的ともいえるアメリカ・カナダ国立公園巡りの一週間の旅だった。
ロッキー山脈を心ゆくまで堪能できた超豪華の観光旅行をここに、その一端を紹介したい。
我々一行は、以下に記す旅行スケジュールに沿って、関西組3名と関東組3名が成田空港
で合流し、シアトル向け旅立つことになった。
<今回の旅行スケジュール>
7月30日 成田発―>シアトル
7月30日 シアトル(1泊)
7月31日 シアトル発―>カリスペル
7月31日―01日 グレーシャー国立公園(2泊)
8月02日-03日 バンフ国立公園(2泊)
8月04日 レイク・ルイーズ(1泊)
8月05日 ホワイトフィッシュ(1泊)
8月06日 カリスペル発ー>シアトル
8月06日 シアトルー>タコマ (囲碁会場チェックイン)
8月06日―13日 囲碁大会( US GO Congress )
8月14日 シアトル発―>成田
勿論、主目的は囲碁大会( US GO Congress )への参加だったが、前半の6泊7日
のロッキー山脈・国立公園巡りの魅力抜きにして今回の企画は考えられなかった。
[ シアトル ]初日 - 7月30日
成田―>シアトル空港 (ノースウエスト航空便)
快晴のシアトルは朝の陽光が眩しく、睡魔が一層身にこたえる。
Downtown Airporterで目指すBest Western Loyal Innに向かう。
チェックインまで充分時間もあり、ホテルにトランクを預け、そのままダウンタウンの
海岸まで市内観光を兼ねて歩くことにした。
その海岸の突き当たりに位置したパイク・プレース・マーケットに入り、人混みの流れ
に身を任せながら所狭しと並んだ魚介類、肉、野菜、花や工芸品などの店を見て回る。
生活に密着した店が300以上も軒を連ねている。
シーフードが美味しそうなレストランに入り、海を見ながら新鮮な魚料理に舌鼓をうつ。
期せずして、その日は恒例のカーニバルが19時から繰り広がれ、沿道約2Kmに亘って
人で溢れ、正に庶民的な光景に感動を覚える。
我々は、趣向を凝らした仮装行列や大がかりなパレードを見物し、暫く夕刻のひとときを
過ごす。
[ グレイシャー国立公園 ]2日目 - 7月31日
シアトルー>カリスペル空港 (アラスカ航空便)
私のトランクが紛失し、衝撃的なハプニングに我を失う。
仲間に促されて、カウンターへ赴きトランク紛失の諸手続きを取る。
さて、気持ちを切り替えてグレイシャー国立公園へ旅立ちましょう。
レンタカーはフォード4000CCクラスのバンで、ミニバスほどのかなり図体が大きい
車体である。
距離にして空港から約100Kmほどのセントメリーの東ゲート近くのGlacier Inn を
目指す。
西ゲートに入って程なくして、園内最大の湖レイクマクドナルド(Lake McDonald)に
着き、山々に囲まれた静かな湖面に固唾を呑みながら壮大な景観を楽しむ。
因みに、西ゲートから東ゲート間のルートはグレイシャー観光の一大拠点である。
グレイシャーは氷河の彫刻美術館といわれ、いわゆる巨大氷河が削りあげたその名残りが
今のレイクマクドナルドでありセントメリーレイクの誕生でもあるというのだ。
長さ16Kmもある湖を後にして、急峻な山道を走らせること、約1時間でローガンパスに
着く。
標高2025mにある峠で、周辺には多様な高山植物の群落が見られる。
遥か目をやれば、3000m級の山々が連なり、荒々しく削りこまれた峡谷はスケールで
日本アルプスのカールの比でない。規模、険しさ、大胆さにおいて遥かに凌駕している。
氷河が造り上げた壮大な芸術と言われる所以である。
高山植物の草花の中で最も目を引いたのが、ベアグラスで芯がスーット40〜50cm
伸びきった穂先に白い薄黄色がかった細かい花を筒状にたくさん咲かせる。
ユリ科の植物で、他にもxxリリーと名がついた草花を初め、紫色のルビナスとか日本
アルプスでよく見かけるミヤマキンバイの一種がこの時期に咲いている。
8月前半は絶好の花のシーズンで標高2000m辺りは百花繚乱の趣を呈する。
(ヘアグラス余談)ローガンパスで、誠実で温厚な高本さんがひときわ目立つ白い花を
指差し、ヘアグラスと教えてくだれた。高本さんが言うのだから誰も疑わない。
私はメモ帳にヘアグラスと書き込む。白い花のイメージから無意識に自らの頭に手を
やって、隣のKさんのロマンスグレーに思わず目をやる。
白髪が語源ではと一瞬頭をよぎったのである。
高本さんは、2日後に訂正したものの罪作りな話である。
因みに、ベアグラスはクマの多い場所にたくさん見られることから名付けられた。
雄大な風景を堪能し、セントメリーレイクを右手に身ながら一路宿泊予定のGlacier Inn
へ向かう。
ホテルのフロントで、トランクの件で空港から連絡が入っていないか確認するも、
答えはNOだった。
取敢えず、近くの店で半袖と長袖のT-シャツを購入し、一晩は何とかもたそうと考えた。
[ グレイシャー国立公園 ]3日目 - 8月1日
朝晩は大分冷え込む。12、13℃の体感温度である。
午前中、長旅で鈍った体をほぐす意味でハイキングに出かけることにする。
セントメリー湖の西端まで車で行き、そこを起点にVirginia Fall までの散策である。
約2時間半のコースで起伏もそれほどなく、格好な気分転換になった。
午後は、自由時間とし、思い思いに時間を過ごす。
私の頭から一時もトランクのことが離れない。16時頃、フロントで確認するも空港
から連絡がないとのことで、いよいよ窮地に陥る。
こちらからも電話確認をいれるが、連絡先がフリーダイアルになっているのと英語力の
問題で、思うように電話が繋がらない。苛々がつのる。
夕食時になり、ホテルのレストランへ赴き、円卓に案内されビールを注文する。
ウエイトレスは夏季休暇を利用してのアルバイト学生で、ハーバード大学生と見紛う
ほどの知的美人のお嬢さんである。
そのお嬢さんが何としたことか、目前のテーブルにビールビンを落とし、ビンは粉々に、
ビールは私のズボンへ思いきり飛散したのである。
彼女の泣きそうな顔を思いやり、私の方は唯一知っている英語「 No Problem 」で、
気持ちとは裏腹に笑みさえ返したとあっては、正に笑止ものである。
トランクの件といい、選りによって、何で私だけがと忸怩たる思いで虚ろになる。
夕食後、部屋に戻ると、井畑さんが紙パンツの提供を申し出る。私は紙に抵抗感
があり一度は断るも、親切心にほだされ素直に使わせてもらうことにした。
暫くして、鈴木さんからも、パンツ、肌着と厚手の上着の申し出があり、お二方の親切
な計らいに思わず涙して、心のなかで手を合わせていた。
トランクは諦めるわけにはいかない。先の長い2週間の旅を考えると尚更である。
執拗に空港へ電話する内に担当者と繋がり、何とトランクは見つかり21時頃には
ホテルへお届けできるというのだ。
正直いって、その時の気持ちをどう表現してよいか分からない。
長い長い二日間がやっと終わった。
[ バンフ国立公園 ]4日目 - 8月2日
朝の冷たい空気が心地よい。朝日に輝く山々が目に眩しい。
正に、「ヤッホー」、「ヤッホー」と大声で叫びたくなる。昨日までの自分とは明らかに
違う。爽やかな気分である。
バンフを目ざして、一路北進する。距離にして約600kmで、井畑さんと木村さんの
お二人がドライバー役を買って出る。
正に豪華キャストによるドライブである。
井畑さんは、某会社の現役会長さんで、木村さんは知る人ぞ知るIBMの要職についた経歴
の方であり、一方ガイドは交渉力抜群の有能な兵藤さんときている。
自分は後部座席で流れ行く景色を泰然と眺めるだけである。
景色に飽きればまどろむ。まさに、一生に一度の贅沢の極みである。
牧草地帯が延々と続く。暫くすると、左手に屹立した巨大な岩山が辺りを睥睨するが如く
聳え立っている。かのChief Mountain だと後で知った。
ジョンウエイが主役の西部劇映画で何度かお目にかかった気がする。
国境で、パスポート見せるだけの簡単なチェックを済ませ、Waterton Lakes National
Park へと進路をとり、Prince of Wales Hotel へAm11:00に到着する。
1. オータートンレイクス国立公園
オータートンレイクス国立公園は、アメリカのグレイシャー国立公園と国境を挟んだ
隣合わせの国立公園である。
Upper、Middle、Lower と称される3つの湖で構成される。
断崖の突端に建っている Prince of Wales Hotel の芝からの眺めは、正にオトギの国で、
絶景である。湖面はコバルト・ブルーに輝き、ホテルも自然とうまく調和している。
観光バスやツアーなどはほとんど来ないとあって、ここに足を踏み入れる機会を得て、
本当にラッキーだったとその感を深くした。
2. バンフ国立公園
途中カルガリー・オリンピックのスキー場を左手方向に見ながら北進を続け、17時ごろ
バンフに無事到着する。
今夜の宿は、Rocky Mountain B&B でちょっと大きめの民家である。
B&B は、Bed & Breakfast の略で朝食とベッド付き部屋を提供する宿らしいことを始めて
知る。
宿で手続きを済ませて、すぐ近くのダウンタウンへ出る。結構人通りがあり、賑わっている。
通りの一角に、巨泉が経営する「OK Shop」が目に入り覗くと、ありきたりのお土産店に
過ぎない。隣の「Saitoh Shop」は高級貴金属店のようで、覗く気にもならない。
夕食は、日本レストラン「杉の宿」で寿司を食べ、アメリカンフード漬けのお腹が清涼感
で安らぐ。
[ バンフ国立公園 ]5日目 - 8月3日
朝かなり冷え込む。気温1℃である。東京の真冬並みの寒さである。
但し、日中は20℃以上に気温も上がり過ごし易い。
1. コロンビア大氷原
アイスフィールド・パークウエイを一路北へと車を走らす。レイク・ルイズへ到着した
ところで小休憩をとる。
いざ出発となった時、うっかり西ルートヘ入って、遥か50km先のゴールデンでミスに
気付く。ちょっとしたハプニングで、ご愛嬌である。
本来のパークウエイに戻り、右手に3000m級の山脈の連なりそして左手に湖を配した
風光明媚なルートを一路北へと走る。
約2時間後、目的地に着き、大型バスと雪上車に乗り継ぎ、氷河の上に立つことができた。
我々の自らの足で立ち、驚きの目で眺めている氷河は、大氷原から流れ出すいくつもの氷河
の1つに過ぎない。その山の裏側にはとてつもなく巨大な氷原が潜んでいると言うのだ。
しかし、雪上車に乗り継いで氷河に至る数百mは、土剥き出しの路面で、氷河後退の
事実を覆い隠すすべもない。
地球温暖化対策が急がれる所以だ。そのことを痛切に感じた、貴重な一日であった。
[ バンフ & レイク・ルイーズ ]6日目 - 8月4日
1. バンフ・サルファー山
午前中、温泉とサルファー山頂からの展望を楽しむ。
日本の温泉とイメージがほど遠く、野外のミニプールといった方が適切かも知れない。
水着着用は当然で、皆さんプールでのんびり寛いでいるといった風情である。
仲間で果敢に挑戦したのは、井畑さん・高本さん・兵藤さんの3名である。
その間、ロッジのコーヒーショップで日本人経営者の女性とコーヒーを飲みながら
談笑する。
彼女曰く、この一帯の山々は、Lodge Pole Pine (松の一種)が密生しているが、人工的に
野焼きする理由として、幹の松ヤニを溶かし、自然立ち枯れを防ぐためらしい。
そう言えば、パークウエイをドライブしていると、所々で十数キロに亘って黒焦げの立木
を目にした。しかも整然としている。
害虫防除のためか、又は彼女が言ったヤニを溶かす為なのか、真偽の程は分からない。
湯上りの3名と合流し、ゴンドラでサルファー山頂から木道の展望台まで足を運ぶ。
360度の一大パノラマである。バンフの市街が手に取るように鮮明に見える。
まるで箱庭のようだ。市街の方向に流れるボウ川沿いにゴルフ場も緑鮮やかに見える。
そのゴルフ場で、井畑さんはプレーしたことがあるというから驚きである。
2. エメラルド湖
バンフを後にしてレイク・ルイーズへ向かう。
宿泊予定の Lake Louise Inn を訪ねる前に、ヨーホー国立公園の一角にあるエメラルド湖
へ寄る。
湖面は、エメラルド・グリーンで彩られ、正にその名に恥じない素晴らしい湖である。
湖畔には、ロッジがたたずみ、その中でひときわ目立つEmerald Lake Lodge に入り軽く
喉を潤すことになった。
< アイスワイン >
井畑さんが事も無げに、アイスワインのボトルを注文する。
厳しい寒さでブドウが氷結する、一瞬の収穫時を逃せばアイスワインは誕生しない曰くつき
の希少な高級ワインである。しかも目が飛び出るほどの高価ときている。
そのまろやかな風味は、私ではとても説明できない。割愛させていただく。
割り勘と思いきや、会長さんのおごりである。彼もダテではない。
時間もあり、モレイン湖(Moraine Lake)へ足を伸ばす。
カナダ旧20ドル札の図案に採用されただけあって、白い頂の山々に抱かれるように静かに
佇んでいる湖は神秘的な様相を呈している。空・山・湖が織り成す構図が圧巻である。
これら代表的な湖を堪能し、今夜の宿泊Lake Louise Inn へ向かう。
[ ホワイトフィッシュ ]7日目 - 8月5日
レイク・ルイーズから一路93ルートを南下する。距離にして約600kmもあろう。
ホワイトフィッシュ(Whitefish)は、グレイシャー国立公園の西側40kmのところに
あり、カリスペル空港にも比較的近い。
アメリカ・カナダ国立公園巡りの最後の一夜を過ごすのに、最適な場所と言えよう。
今夜の宿(Good Medicine Lodge)は、B & Bとは言え、ホテルと見まがうほどに
施設が整い、しかもオーナーが温かみに充ちている。
旅の疲れを癒やすのに、最高の記憶に残る宿だった。
[ あとがき ]
若干15歳の岩崎恭子がオリンピック平泳ぎで優勝したときの「人生で最高の幸せ」と、
あどけない顔での一言が、一躍有名になったことをご記憶の方も多かろう。
その4倍もの人生を歩んできた我々に、いみじくも言わせしめた「人生で最高の観光旅行」
との感想は、嘘偽りなく重みがあろうと言うものだ。
今回の旅行はスケジューリングから航空券手配、ホテル予約、更にコース設定に至るまで非の
打ち所がなく、参加者一同心から感銘を受け、且つこれ以上楽しい旅行の経験はなかったとの
賞賛は決して大仰でもないことを付け加えさせていただく。
改めて一人で企画から実行までなされた兵藤さんへ感謝申し上げたい。
同時に、約3000kmにも及ぶ長距離を運転していただいた、井畑さんと木村さんへ
心から感謝を申し上げたい。 ありがとうございました。
- 完 -