8/16に湊さん達と沢登りをしました。8/19の新宿天元での勉強会 で、湊さんが「沢登りにまた是非行きたいですね。」と言ってくれた ので、ご満足して頂けたと嬉しかったです。その時、何人かの方に その「山ある記」をメールすると約束したのですが、誰と誰だったか はっきりしないので大木アドレスで纏めて送ります。ご笑覧下さい。

   嘉瀬 敏  

     *****
     かせのつりはし(嘉瀬の吊り橋)
                            2000年8月17日
 ひょんなことから8月に続けて2回沢登りをした。6年ぶりのことで
あった。
 5月末にAST・OB会があり、当時の出向者仲間であった三菱商
事の方から、沢登りをしたことがないので一度案内して欲しいと頼ま
れた。昔、沢登りの手ほどきをしたIBM・SEとその友人(未経験者)
を加え4名での山行きが、8月6日に計画された。彼等はまだ現役
で若く、よく登山している。
 2回目8月16日は、IBM本社にいる碁の仲間とその同僚で、
彼等も現役で山が好きだ。2名とも初めての沢登りなので、念の
ためサポーターとして私の義弟に同行を頼んだ。

 コースとして、丹沢・新茅の沢(シンカヤの沢)を選んだ。ここは
私が初めて沢登りを経験したところだ。その後も何回となく訪れて
いるが、飽きることなく、何時も新鮮である。巻き道もしっかりして
いるので、初心者でも安心して案内できる。通常沢登りの帰りは
尾根道を下降するが、ここはヒゴノ沢を降ることが出来る。往復と
も沢というのは、とても得をした気がする。

 暫く振りの草鞋は足にしっとりと結びつき、その感触が嬉しい。
最近はフェルト底の靴を使う人もいるが、私は未だに地下足袋に
草鞋を愛好している。地下足袋は使い古されて所々に穴が開い
ている。濡れた岩の上を歩くとき、草鞋だと滑らずぴったりと岩に
吸い付く感じがする。それに岩を登るときにはほんの小さな凹凸
でもしっかりと足がかりに出来る。登山靴やフェルト底ではこうは
いかない。

 登り初めて30分、3m〜7mの滝をいくつかよじ登る頃には、
初めての人も馴れて、沢の感触を楽しみ始める。12mの大棚
(丹沢では滝のことを棚と称する)の巻き道は、安全のためザイル
で確保したが皆その必要もなく、攀り上げたときの得意げなほっと
した笑顔がよい。

 沢登りの楽しさの一つは、尾根歩きのように既存の道を辿るの
ではなく、自分で登るコースを探し、決めながら登ることだと思っ
ている。同じ沢でも、滝を直登したり、巻いたり、その時の体調と
気分で変えられる。新人にもトップを交代で歩いてもらい、この楽
しさを味わってもらった。

 しかし、なんと言っても、夏の沢登りの醍醐味はシャワー・クラ
イミングだ。冷たい水しぶきを浴びながら、滝の水流の中を登る
緊張感は、思い出すだけでぞくぞくする楽しさだ。新茅の沢は
上流部分にこのような3mから8mの小滝が連続する。

 ガレ気味の最後の急斜面を登ると烏尾山頂に出る。ゆっくり
登って3時間のコースだ。

 帰りのヒゴノ沢は熊笹をかき分けて下りはじめる。というより、
熊笹にしがみつきながら急斜面を滑り落ちる。そのあと涸れ沢が
暫く続き、やがて水流が始まる。下流には10m以上の高さの
砂防ダムがいくつも連続する。その堰堤はザイルを使って降る。
1時間半の下降の後、大倉バス停まで1時間半の林道歩きは、
バス停前休憩所でのビールの旨さを思い、のどの渇きを我慢し
て頑張る。

 以前は大倉の手前で靴を脱ぎ、水無川を渡渉しなければなら
なかったが、数年前の神奈川国体の時、大倉に立派な吊り橋が
出来た。車は通れないが美しく立派な橋だ。私もそこを渡るのは
初めてだ。林道から階段を登って、橋のたもとに出たとき、そこに
橋の名前が刻み込んであるのが見えた。
なんと!! 『かせのつりはし』とあるではないか! 「そんな筈が」
と言った皆も、「あ、本当だ!」と驚いた。神奈川県民として長年
多額の税金を納めたからねと言いながら、そばに寄ってみたら、
それは「かぜのつりばし」で、濁点が光線の加減で遠くからはよく
見えないのであった。反対側の柱には「風の吊橋」と彫り込んで
あった。

 吊り橋を渡って、バス停前の「どんぐり茶屋」で呑んだ生ビール
の味は格別であった。勿論大ジョッキである。バスが来ても、
「まだ次のバスがあるよ。」と言いながら、枝豆、餃子、お新香を
おつまみにジョッキを重ねた。