第4章 再会
ヨイドとは一見すると、普通の陸地のようなのですが、よく地図をみてみると 川にへだてられた島になっています。しばらく町並みを走ったあと、 突然「はいマンハッタンホテルにつきました。」と いわれました。ヨイドのやや左のほうに位置するそのホテルの正面玄関に車がのりいれました。 すると、正面玄関の前にニ名のIBM Koreaの方が直立不動で待っているのが見えます。 「あ、Kahngさんだ。」私は叫びました。もう一人はSeongさんでした。 車のドアが開くと声をかけた。「おお!!」「Nice to Meetyou」 「パンガップスムニダ」 覚えたばかりの韓国語をさっそく使いました。(お会いできて嬉しいですという意味) 皆、再会を喜び、固い握手をかわしました。韓国の二人もたって待っている間は 渋い表情でしたが、我々の顔をみるや破顔一笑という感じで歓迎の気持がつたわって きます。 その後、我々はホテルにはいり、ガイドさんの指示にしたがい、チェックインを 行いました。部屋割りは事前にきめてあったのですが、以下のようにしました。 たばこ組 (大木、服部) 藤組 (加藤、佐藤) 協和発酵組 (谷野、尾崎) 沈着冷静組 (田島、岸原) たばこ組の大木さん、服部さんは旅行するたびに同じ部屋にされるそうです。 これも愛煙家の宿命というやつでしょう。はたからみると、いつも同じ部屋なの で語る話もつきて、不便そうにおもえますがこの二人には碁盤さえあればよい ようです。協和発酵組とは妙な名前ですが、囲碁の大会協和発酵杯が先日 開催され、そのときに級位戦で、谷野さんが、初段戦で尾崎さんがそれぞれ優勝 しており、それを祝してのネーミングでもあります。 添乗員のParkさんと韓国IBMの方の話あいで、これより、免税店に行き、その後 その足で夕食を食べにいくというプランに決まりました。 フロントにいる我々もチェックインをすることになりました。 「じゃあ、皆さん部屋に行って荷物を置いてきてください。10分で降りてきて ください」ガイドさんのこの指示にしたがい、フロントで鍵をうけとると エレベーターで8回に行って、自分達の部屋をさがしました。その後、部屋にはいり 荷物をいれました。どこにでもあるような普通のホテルのようです。 でかけるときに、貴重品は身につけていくことにしました。実は過去の 中国旅行等で身につけておかなかった現金が盗まれるという事件も発生しており、 盗難には細心の注意を払います。 8Fからまた1Fのフロントに戻りました。すると、さらに ChungさんとLeeさんが待っていました。(Nice to Meet you! チョヌンキシハライムニダ)と挨拶をかわし、感激の再会を喜びあいます。 しかし、 Chungさんは、どうも私と初めてあったような顔をしています。 (私のことを忘れていたのかもしれません)
その後、メンバー全員がおりてきました。ガイドさんからは、パスポートは ホテルに預けておいたほうが良いとのアドバイスをうけました。 そこで、皆からパスポートおよび出国カードを集めて、フロントに預けました。 パスポートはすでにフロントに預けたという佐藤さんや、 部屋の中においてきたという尾崎さんなどとは別になりました。 またトラベラーズチェッックという高等戦法を使用しているひとも預けないで 自分で持つことになりました。
そのあと、今後の予定はどうなるのかが気になるところですが、 IBM Koreaとガイドさんが何やらえんえんと話しています。韓国語なので わかりませんが、このあとの行動をどうするか議論しているようです。 そのなかで、「ヨイドサンゲンタン!」と、女性のガイドさんParkさん のすっとんきょうな声だけが理解できました。 「ヨイドのサンゲタンなんか食えたものではない、 なんでそんなところに行くの!! 」とでもいわんばかりの口調。 我々はつられて笑ってしまいました。
その後、また例のライトバンに乗り込み、新羅の免税店へとむかいました。 Chungさんが同じ車に乗り込み同行しました。 Kahngさんらは別の自家用車でやはり、免税店へむかいました。 車中では、大木さんと佐藤さんがChungさんといろいろと会話をしていました。 会話はほぼすべて英語です。 「景気はどうですか?」「韓国は悪いですねえ。」 「韓国IBMは何名くらいいるんですかあ。」「2000名くらいですかね」 「この川はなんという川ですか? 」 ころあいをみはからって、私がChungさんに話かけました。 「Chungさん、私のことは覚えていますか?」 「え?」「3年前、山中湖から 一緒にドライブして帰ったでしょう。」というと、ややあって、 「おお、あのときの!!」と本当に驚いた様子でやっとおもいだしてくれ たようです。3年前韓国の選手団8名が山中湖の保養所を利用したのです が、私は次の日に休みになっていなかったので帰ることになりました。 そのさいに、彼も一緒に帰るといわれ、二人で山中湖から東京へ私の車で ドライブしたという間柄だったのです。3年前だったので、忘れていた みたいですが、印象的なできごとでしたので、すぐにおもいだされました。 あのときは大雨が降っていて、高速道路の運転も大変でしたねえ。 なんて当時のおもいでを振り返り、いっそう親睦が深まりました。 韓国では道のいたるところに軍人が直立不動で立っております。 (ちょっとした恐怖感にかられます) しばらくして南山公園という場所にあるソウルタワーが見えてきました。 かなりの高さで、あれならソウルを一望に見渡せそうな感じですが、今回は 時間がなく登ることはできませんでした。 「Chungさん、あれはソウルタワーですね。すばらしいじゃないですか。」 登ったことあるんでしょ?」「いえ、ないですね。」「え、なんでですか?」 「Because No need」 ふうむ、そんなものかとおもいました。 Chungさん、あなたは東京タワーは登ったことありますか? 「YES !! 」「Ohki san, Did you ? 」 「No!! 」 大笑いでしたが、タワーなどというものは住んでいる人ではなく観光に きた人が登るためにあるのでしょうか? 数分後、新羅の免税店へ到着しました。ここに隣接する新羅ホテルは 韓国でも有数の高級なホテルらしいです。 ガイドのParkさんにお買物カードを渡されておみやげコーナーへ むかいました。集合時刻を決めて入り口で再度集合することになりました。 中にはいるといろいろなおみやげの品が陳列されています。すると、 「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ」「おみやげにいかがですか? 」 まぎれもなく日本語が聞こえてきます。どうも店員は全員韓国人のようで すがみなさん日本語ができるようなのです。よほど、日本人観光客が多いの でしょうか。なかは一般的なおみやげの品から、高級ブランドまでいろいろ な店がわりときれいに陳列されていて、とくに服や装飾品などの売場は日本の 店と比べても遜色のないくらいきれいでセンスのある感じをうけました。 店員は、日本語がうまいのと商売も上手なようで、わりとのせられて多く 買ってしまいました。私には、免税品を買うというのは初めてでしたので システムがいまいち理解できていませんでしたが、あまり高いものを買って いなかったので影響がなかったようです。ここで、会社の人に買うチョコレート などのおみやげを買っていきました。集合時刻に入り口のところに戻ると もうすでにたばこを吸って一服している人がいます。 買いものも一段落したので、またライトバンに戻りました。しかし、全員のりこ んでいつでも出発できる体制になったというのに、 ガイドと 韓国IBMの面々がまだ話をしています。「あれ、どうしたのかな?」「なにかトラブルかな」 とおもって待っていたのですが、しばらくして出発することになりました。 どうも、待ち合わせをしていた専務がやってこないというのです。 3年前にやはり、山中湖に行った専務で、韓国IBMの重職をされている方です。 日本IBM囲碁部にとっては、小津さんにあたる方でしょうか。 今回、飛行機の遅れなどのすれ違いもあって、お会いすることができなかったのは 残念なことのひとつでした。その後、ガイドさんが 「私のガイドは本日 は終わりです。途中で降りて帰らせていただきます。 このあと、IBMの方がヨイドのサンゲタンの店に連れていってくれるそうです。 その店までこの車でお送りしますが、ホテルまでは近いので自分たちで帰って ください。」と頼まれました。我々も了解しました。 そういって、ガイドのParkさんは車をおりて横断歩道を渡っていきました。 信号が青から赤に変わった瞬間でしたので、小走りにかけていきます。 どうも、ソウルまではけっこう遠いところに住んでいるらしいです。 我々は一路 サンゲタンの店へとむかいました。運転を人にまかせていると、 なかなか道は覚えないものです。しかも、他国となるとなおさらで、どこを どう走っているかはわかりません。しかし、加藤さんは、免税店へ行ったときの ルートはどこどこの道をどう走って帰りは別の道でどこを通った等々ということ を記憶しておられました。すばらしい記憶力というか観察力で、碁を強くなるに は、道をよく覚えるのも必要条件なのかもしれません。 ときどきタクシーが道を走っているのが見られます。我々の知識でもBlue タクシーと Yellow タクシーというのがあるのは知っています。Chungさんは、 「Blue タクシーは安いが乱暴で、価格交渉などを事前にやる必要があり、面倒。 Yellow タクシーは高いけど、模範タクシーといわれ、態度も丁寧で観光人むけです。」 と解説してくれました。そういえば、日本IBM関東囲碁部の人間も一般棋士と 模範棋士に分類できそうですね。(笑) 第4章終り