第5章 夕食


 そして、日本にいる頃から待ち望んでいたとうとうサンゲタンの店に到着しました。
 LeeさんとChungさんの案内で店の奥のほうに通されました。ひと部屋を借り切って
 くださったようで、心おきなくさわぐことができます。
 ここは、禁煙じゃないですよね。服部さん、大木さんが牽制球を投げてきます。
 本来は禁煙のようなのですが、「我々だけですし、いいでしょう。いいでしょう」
 ということになりました。
 たばこを吸わない人も人のいい人がそろっているので、めくじらをたてる人は
 いません。そして、まもなくサンゲタンという料理が目の前にやって
 きました。なんとういかこんな豪快な料理とはおもいもよりませんでした。

  塩につけて食べるとなかなか美味なようです。ビールで乾杯して、再会を喜び
 ました。 韓国製のキムチもでてきて、やはり 本場のキムチはなかなかおいしいです。
  ただ、私自信は辛いのはちょっと苦手で でてくるものがほとんど辛いもの
 ばかりなので、なれるまで苦労しました。
 
 そうこうしているうちに、やっとKahngさんとSeongさんがやってきました。 
 「専務さんは怒ってませんでしたか? 日本IBMのやつら、遅れてくるとはけしからん!」
  大木さんは、専務のまねをして、怒ったふりを見せておどけてみせました。
 「いやいや、大丈夫です。むしろ、あえなくて申し訳ない」といっていましたよ。
 この言葉には我々も安心しました。
 KahngさんとSeongさんにビールをつぎました。目上の人にビールをつぐときは、
 左手で右手をもって、右手でつぎます。妙な動作ですが、これが韓国での礼儀
 だそうです。
 Seongさんが私に話かけてきました。「Kishihara san, Do you remember me?」
 「Oh ! I remeber you well !! 」 Seongさんとは3年前山中湖で対局、3子でなんとか
 私に幸いしたというおもいでがあります。Seongさんもそのときのことをよく
 覚えていてくれたようです。「Seongさん、三年前はあまりお酒を飲まれなかった
 ようですが、今でもかわりませんか?」「今でも同じです。」 と笑いながら
 返事をされました。この話が大木さんにも伝わり「え、ビールを1本しか飲まない
 んですか?たばこはすってます。」「いや、たばこもすっていません。」
「Oh, You are very healthy!! 」「実は昔は吸っていたのですが、やめたのですよ」
「You have Powerfull will!」服部さんから称賛の声があがります。
 そして、「わたしには絶対まねできないなあ」(笑) 

「 Seongさん、そういえばあなたTVにでたそうじゃないですか?」「あ、なんで
 知ってるのですか ?  実は、韓国IBMと韓国富士通が3名ずつの代表で囲碁の対抗戦
 を実施し、それがTV放映されたそうです。大木さんが他の韓国の方から聞いた
 最新情報でした。
 結果は惜しくも2対1でやぶれましたが、
 大木さんは「たぶん、実力はうわまわっていたのでしょうが、TVカメラの前で
 緊張してしまったのでしょう。再度やれば必ず勝ちますよ。」
 「私たちもそうおもいます。」調子のいい会話が続きます。

 日本では池上さんが県代表になるなど活躍していますよ。と日本の宣伝もしておき
 ました。

 夕食は、このような雰囲気でおもいで話や、世間話に花を咲かせながらの食事と
 なりました。 
 とくに 服部さんが大感激して、「こりゃおいしい!!」を連発していました。

 あんまり感激するもので、Chungさんも、「服部さん、日本に帰ったらサンゲタン
 の店をはじめてはいかがですか? IBMの事業所の前がいいでしょう」とひやかして
 いました。大木さんも、「ああこれはおいしいですよお。」といいながら、
 「I'm Happy !!! 」と表現しました。すると、突然 Chungさんが「大木さん、私の 
  VMのIDは覚えていますか?」と聞いてきました。正直いって、なんで突然そんな
 ことを聞くのだろう?と不思議におもいました。聞かれた大木さんも「いや、
 え?  教えてもらったとおもいますが、覚えてはいませんねえ。」怪訝な表情で
 応対しておりました。「いやあ、私のIDは OHAPPYなんですよ。」
 「ああ、そうだ。そうだったあ!」「そうそうそう」服部さんと大木さんがおも
 いだしたようで、大きな声をあげて同意しました。

 「IDは自由につけられるんですか?」「そうです。わりと覚えてもらえるID
 なんですよ。これ」「そんなIDならメールを送った人は幸せな気分になれますねえ。」
 「But Actually, I'm not Happy !!! 」この言葉には爆笑でした。
 
 となりのテーブルにはLeeさんを囲んで、佐藤さん、加藤さん、尾崎さん、田島さん
 が話をしています。ワールドカップサッカーなどの話題もでていたようです。
 
 加藤さんと私はこの食事の様子を数枚デジタルカメラで写真にとっていました。
 Kahngさんは、私のデジタルカメラを珍しそうに見ていました。
 これが、デジタルカメラか。とってすぐその場で写真が見えるというところに感心
 しました。価格や記憶方式やバッテリーのことなどを聞いていました。
 「 This is Good Product !  来年、日本に行ったときに買いたいですね。」(Kahngさん)
 「秋葉原ですね。」(大木さん)
 「たぶん、また値段もさがっているでしょう。(Seongさん)」
  私がさらに詳しく説明していると、
  「明日の碁の試合に負けたら、このカメラは おいていくことにしましょう。」
  なんて冗談で場内大爆笑となったようです。(冗談じゃないですよ! (^ ^;

 服部さんが眠そうな顔をしていますよ。「服部さん、大丈夫ですか?」
 これにこたえて、「わたしはビールを飲むとすぐ眠たくなっちゃうんですよ。」
 とこの言葉を英語でいうわけですが、  服部さんの英語がまた、独特です。
 ひとつひとつの単語をかみしめるようにゆっくり話します。そして、一瞬空白の
 時間帯があり、もしかしたらしゃべるのをやめたのではないかとおもい、はらはら
 させられます。他にも「たばこをすってると下が鈍感になっちゃいますよ。」(服部さん)
 などと皆の笑いをさそっていました。

 この後、Kahngさんの失敗談もとびだしてきました。
 日本にきたときに、六本木で、(そのとき日本に滞在していた)韓国の友人と飲んだそうですが、
 遅くなったのでタクシーに帰ることにしたそうなのですが、目的地を聞き違えられたらしく
 箱崎の近くまで帰るだけだったのに、1万数千円とられたというものです。
 やはり、異国では、いろいろと失敗することもあるようです。
  
 私はKahngさんに聞いてみました。「Kahngさん、明日の試合でもし、負けが
 きまったら、  チョッスムニダ というつもりですが、これで問題ないですか。」
 「おお、それでいいですよ。」チョッスムニダは負けましたという意味です。
 きちんと韓国語で投了したいものです。しかし、あまり多くこの言葉を使いたくは
 ないですね。大木さんも笑いながらチョッスムニダ、チョッスムニダと練習をはじめて
 いました。

 ところで、明日はホテルからIBMまでちゃんとこれますかね?
 この質問に日本のメンバーは顔をみあわせて、「ん」と懸念の表情をみせました。
 彼等は微妙な表情をよみとります。では、わたしが明朝迎えにいきましょう。
 Leeさんが、迎えにきてくれるということをもうしでてくれました。
 それでは、9:30にしましょう。 本当にありがたいことです。
 Thank you very much , チャルプータッカムニダ (よろしくお願いします)
 
 楽しい夕食のひとときはあっという間に終わってしまいました。
 「さて、おいくらでしょうか?」「ああ,気にしないでください」
 サンゲタン料理は先方が御馳走してくださいました。
 どうも、ごちそうさまでした。ありがとうございました。口々に感謝の言葉をのべ
 て外にでました。

 第5章終り