第9章 宴会


 大会終了後、近くの宴会場で表彰式およびうちあげを行いました。
 
 その店にはいると、入り口のところでテレビで韓国の車範根監督の意気揚々
 としたインタビューが行なわれています。なんせUAEを3ー0でくだし、
 独走態勢でワールドカップをほぼ手中にしたのですからもう英雄同然です。

 TVを見ていたのは、その飲み屋の店員さん、韓国IBMの面々
 そしてそれにまじって私もそのインタビューの様子を 聞きいっていました。
 ときどき映し出される韓国チームの得点シーンには、それを見て
 いない人ばかりでしたので沸きあがりました。

 TVを見おわると、さあさあ、どうぞとばかりすぐそばの たたみの部屋に
 通されました。またまた、貸し切りの部屋なので気持よくさわげ ます。
 ここは、日本風の飲み屋で刺身やみそ汁、さんまがでてきました。
 しかし、韓国特有のキムチも当然のようにでてきます。
  
 またお箸はやっぱり金属製のものです。
 日本側も空港で買ったお酒をさしだして盛大な宴会がはじまりました。
  
 
 まずは、表彰式です。優勝したKIMさんや準優勝のJangさんなどが
 表彰され、すばらしい賞品が手渡されます。
  
 とくに、日本人で唯一賞品にあずかった田島さんは手渡された記念品に
 にっこりでした。
 また、日本のメンバー全員に記念品が送られました。私は家に帰ってからその
 記念品をあけてみたのですが、わりと高価そうなフォークとスプーンです。
 どんなに成績の悪い人でもこの記念品をもらえるわけで、韓国の方には本当に
 感謝感謝です。

 大木さんは韓国語の挨拶を会場でできなかったので、ここで数名の韓国の方に
 対して披露することにしました。ところが、韓国語をひとことひとこと話すたび
 に相手もそれを日本語でかえしてきたそうです。大木さん、碁もまいりましたが
 これにも完全にマイッタと息の根をとめられた様子です。

  

 「 韓国IBMでも大会をやっていますか? 」「やっています。年にニ回行っています。」
 「いつも、このKimさんが優勝しています。」
 「今回、Kahngさんが幹事だったみたいですが、だれが決めたのですか?」
 「Kimさんです。」  「Oh, You are dictaotr ! 」大木さん、Kimさんを
  にらみつけました。
  強い人に特権があるというのもおもしろいかもしれません。 (笑)

  そういえば、富士通との対抗戦でTV放映されたそうですねええ。
 「よく知ってますねえ。」「あのときは、KimさんとJangさんとSeongさんが
  出場したんですよ。」「それで、私は勝ったんですけどね。」とKimさん、
 「あとの二人が、、」そこで大笑いになりました。
  大木さん、負けた二人をさっしてフォローにはいります。
  TVカメラを意識しすぎたのではないのですか?
  それにおそらく応援団が少なかったのでしょう。応援にいってれば負けなかった
  はずですよ。このようなアドバイスを韓国の方も笑いながら聞いていたようです。

  佐藤さんは、Kahngさんにさかんに質問していました。実は明日佐藤さんは
 単独行動で韓国の山に登ろうという大胆な計画をたてているのです。
  ソウルの北のほうに北韓山という国立公園があり、非常に良いところらしいです。
  佐藤さんは、マウンテンバイクを借りて、そこにいこうとしているらしく
 そのためにいろいろとアドバイスをうけています。
  
  その後も非常におもしろい話で場が溢れかえり、本当にもりあがりました。
  しかし、「楽しいことは早く時間がすぎる。」
  とは、服部さんが作られたけだし名言かもしれません。

  お別れの時間がやってきました。お酒代を払おうとすると、
  韓国の方はOK OK といってお金を払う必要はないですよという意志表示をしています。
  
  そんな、いくらなんでもこの人数の酒代をだしてもらっては悪いというものです。
  大木さんが中心となって、我々はNo! No! No! と いってことわり、メンバーから
  お金を徴集してさしだそうとしましたが、
  どうしても御馳走する、といってことわれれました。昨日もご馳走になって
  いるしけっこうな負担なはずで韓国の方には本当にお世話になってしまい
  ました。来年は盛大な歓迎の場を作って是非ともおかえししたいところです。
 
  宴が終わって外は真暗でしたが、記念写真をとりました。

  
  いよいよ本当にお別れです。
  
  来年、是非日本にきてくださいよ。そのときにお礼しますから。
  ええ、来年行きますよ。と皆が交互に握手をかわし、感きわまる場面でした。
  我々はほんとうにすがすがしく,良い気持でそこを後にしました。

  その後、例によって、徒歩で帰ったのですが、
  Kahngさん、Seongさんの二人がホテルまで送ってくれました。
  「お忙しいのに、ここでいいですよ。」といってその場で別れようと
  しましたが、「いや、酒が少しはいったんで酔いをさます必要があるの
  ですよ。今日は車ですからね。」とKahngさんの答えが帰ってきます。
  「なるほど」
  
  やがて、BigStreetまでやってきました。
「  この道の横断歩道のないところを横切るとつかまるらしいですね。」
「  過去に兵藤さんが逮捕されたらしいですよ。」国が違うと法律も違います。
  規則の違いというのはこわいものでこのようなことを知らないと大変です。
 「Does anyone try ? 」 「Oh no. Arrested !! 」
 「日本人の中でだれか試してみる人いませんか?」「逮捕され
  ちゃいますよ。」 「 それを写真にとってあげますよ。」もちろん、冗談なので
  すが、これは、韓国の二人にはおもいっきりうけたようでした。

  「xxxは見ましたか?」Seongさんから聞かれました。私は聞き取れなかった
   ので、「え? なんですってっ?」と聞きかえしました。
   それから、何度かやりとりしましたが、どうも聞き取れません。
   結局、Seongさんはペンと紙をとりだして漢字をかきだしました。
  2、3文字書いただけで理解できました。国会議事堂のことだったのです。
   ああ、わかりました。国会議事堂ですね。はい,見ました見ました。
   国会議事堂は日本のも少し変わった形状をしていますが、韓国のそれも
   同様です。なんといいますか、柱でできたかごに地球儀をいれて、それを
   下から眺めたような感じです。(余計わかりにくい?)
  
   なごやかな会話が続きましたが、とうとうホテルに到着しました。正面玄関の
  前で  「OK! 、 Good bye ! 」 KahngさんとSeongさんは我々に別れを告げます。
   いつまでも名残りはつきませんが、我々は固い握手をかわして
   来年の再会を誓いながら、別れました。
 
   ホテルに戻りましたが、やることは同じです。
   帰ったらさっそく碁がはじまります。(今日の敗戦を並べての反省会などと
   いうのはなかったようです。(^^;) 
   尾崎さんと私はノドがかわいたのでそばの売店に買物をしにいくことに
   しました。「あ、すみません、私の分も買ってきてください。」
  と 対局中の2、3名からも声がかかりました。
 
   売店はホテルのすぐ脇にあります。
   中の様子は、品物が凝縮されて詰めらているというような感じで
   日本ではひとむかし前にはみられたような形態のものです。 

  (それとも現在でも下町にいけばあるのでしょうか?)

  なんともすごい売店でしたが私はポカリスエットを買いました。
  ウォンでの買物も少しはなれてきたでしょうか。
  尾崎さんは、あたたかいコーヒーを探していたのですが、冷たいものしか
  なくて困りはてていました。何をさがしているんですか?といいたげな
  言葉の韓国語を店のおばさんにあびせられます。コーヒーと尾崎さんは
  いいましたが、コピ?とといかえしてきます。
  そうです、コーヒーは韓国語ではコピなのです。(発音は似てますね。)
   
  これなどいかがですか?といった感じで、カフェオレをとりだされましたが
  カフェオレってコーヒーだっけ?と私に聞いてきます。
  「まあ、親せきみたいなもんですが、、、」とわたしも適当にこたえて
  いました。すると、 もう一人別の店の人が「ここにもありますよ.」
  とばかり指さしてくれました。
  そこには暖かいホットコーヒーがおいてあります。「それだそれだ」と
  ばかり、尾崎さんはそれを購入しました。
 
  部屋に戻ると大木さんと加藤さんがすでに対局を初めていました。
  佐藤さんと田島さんは自室で静養しているようで姿が見えません。
  そういえば、佐藤さんは、明日は一人で山に行かれるそうなので、
  気合いをいれていて碁どころではないのかもしれません。
  テレビでは、サッカーの加茂監督更迭のニュースがながれていました。

  服部さんは、電話をかけています。「あれ、どこにかけているのだろう?」
  私は不思議におもいましたが、どうも他のホテルにかけているようです。
  ハミルトンホテルのフロントを呼び出している様子でした。
  「すみません、日本の中野さんという人が泊まっているはずなんですが
   つなげてもらえないでしょうか?」「(しばらく調べてから)、いや
  そのような方はお泊まりにはなってないようですね。」
 「いやあ、泊まっているはずなんですけどね。」しばらく粘りましたが
  断念して、電話をきったようです。
  「おかしいなあ、泊まっているはずなのに、、、、」

  尾崎さんと服部さんはいつものように碁をうちはじめましましたが、なんでも
  服部さんいわく彼のものすごい会心の一局だったそうです。ところが、
  その碁を終盤の一失で失ってしまいました。服部さん、呆然として「ええ、!
  まさかあ、! こんないい碁を、、、会心のうちまわしだったのに、、!!」
  と津波と地震とかみなりが自宅にいっぺんにふりかかったような災難にあった
  ようにボーっとしています。服部さんもぼやくことはあり、少しはそれを
  聞いたことがありますが、ここまでぼやいたのを聞いたのは、わたしには
  初めてでした。 
  「もう、碁盤を見るのがいやになっちゃったよ。」
  もしかしたら、もうしばらく碁から離れるかもしれない。そんなふうにさえ
  おもえるぐらいのぼやきぶりでしたが、すぐに2局目が始まりました。
  
  私は谷野さんと対局谷野さんの2子局です。序盤からいい気分でうっていて
  はやくも中押し勝ちの雰囲気がありましたが、途中からぼろぼろになり
  大差負けをくらってしまいました。

  しばらくして、大木さんと加藤さんの碁を観戦していると、となりでぼやきが
 聞こえてきます。尾崎さんと服部さんの対局で今度こそ服部さんの大勝ちに
 なったようです。そしてぼやいているのは尾崎さん、「あ、あいけね。
 ばかだねえ。いやんなっちゃうよ」そこで、服部さんも同調して
 「そうでしょう。もう、碁石も碁盤も見たくないっていう気になっちゃう
 よね」 「...... 」
 さすがに、この言葉には大笑いしました。普通に考えるとものすごい暴言の
 ような気がします。尾崎さんも羽山さんなどにいわれなれているのかさして
 気にしている様子はないようでしたが、「いわれちゃったよお。」と苦笑い
 していました。「私がすごいことをいいますねええ。」と服部さんに
 告げると、「ちょっといいすぎたかな」とさすがに苦笑していました。

 さて、碁も終わって深夜の1:00になろうかというときに電話がかかってきました。
 えっ。
 こんな時間に!とおもいましたが、服部さん宛てにでした。実は友人の中野さん
 という方からでやはり韓国にきていらしたようです。

 ところで、これはそのときではなく後からわかったことですが、その友人は
 ハミルトンホテルではなくレックスホテルに滞在していたことが判明しました。
 つまり、服部さんお得意の勘違いだったわけです。 
  
 夜も遅くなってきましたが、明朝は8:30に添乗員のParkさんと待ち合わせを
 しています。そこで、我々は朝食時間のことも考えて7:45にフロントに集まる
 ことを約束して解散しました。
 
第9章 終わり