Paul Anderson's Article
11月23日、この日は日本では勤労感謝の日となっているが、私は 朝からコックとなってサンクスギビングの日のためのターキーをオーブン にいれ、丹念に火加減を見る。この日、わが家に集まる"囲碁サロン"の メンバー、25人のために三羽のターキーを焼かねばならない。
年に2、3回、日本IBMの仲間達がわが家に集まって、一日碁を打って過ごす。 私どもの会社には、各事業所にたくさんの碁の愛好者がいる。わが社が 「IBM早碁オープン戦」をスポンサーリングしていることもあるが、 大変ロジカルな碁が、われわれコンピュータを相手にする者の頭脳の トレーニングに役立っていると考えていることもある。
私がはじめて碁を打つ風景に出会ったのは、今から三十年も前のことである。 ワシントンのスクエア・パークのベンチで碁を打っている人に出会ったのが 最初である。何の役割も担わぬ白と黒の石が打ち手の意思となって みごとなまでにロジカルな闘いをするゲーム。盤面に描かれる白と黒の アブストラクトな紋様に込められたピュアなゲームはまた大変ポジティブ なゲームでしかも失うものがない。つまり、チェスやバックギャモンなど 他のゲームと違って、勝者も敗者も同等の喜びを分かちあうことができる。 私はたちましこのゲームに魅せられ、まだIBMに入る以前、1961年 に来日した時は、6か月短い滞在期間中、木谷道場に通い詰めた。
四年半前に来日してからは、余暇は碁ひとすじの生活である。毎週末の 休日、土曜、そして日曜も高田馬場囲碁クラブに通い、二百本の碁のビデオを 見、目黒の碁会所にも通っている。
大竹九段は、「碁の本質はコウにあり」と言っているが、私もコウ争いに なると、いちだんとファイトしてくる。