第27回日韓IBM囲碁交流報告記
平成元年(1990年)に始まった日韓IBM囲碁交流は日本IBMと韓国IBMの囲碁仲間の交流会である。約30年続くこのプログラム、政治的には今ギクシャクする日韓であるが、今回の27回交流会は日本側が韓国を訪問するということで8名の仲間が今年令和元年10月11日(金)から4泊5日の予定で実施された。
参加者は兵藤、木谷、谷野、金子、原、山内、故ポールさんのご夫人和子さん、高本の8名
日記風に状況報告をする。
第1日
10月11日(金)
今回4泊するソウルのホテルShilla Stayはソデムン(西大門)地下鉄駅前にある27階建ての新しいビジネスホテルである。インチョン空港からリムジンバスで行く1時間半混雑するソウルの中心部である。
午後7時過ぎチェックイン、全員集合し、ホテルの地下1階のバーで歓迎夕食会が始まった。韓国側からはリーダーのKahngさんとShinさんとChoさんが迎えてくれた。
飲み放題のビールとソーセージや温野菜などをつまみに9時半ごろまで飲み、1805ルームの兵藤さんの部屋で磁石碁盤で囲碁交流対局、私はShinさんに常先で負けた。ひと風呂浴びて寝たのは12時前だった。
第2日
10月12日(土)
朝食は全員で散歩を兼ね外でとることにした。すこし裏通りにはいるといろんな店がある。 土曜日のためか朝から開店しているのはすくなく、ご飯ものや麺類の絵でメニューのでている定食屋にはいった。めいめい、壁にはられた料理のメニューを見ながら注文した。
私は白いスープのラーメン定食にした。6000ウオン日本円で600円、肉の臓物がはいっていたが、スープに栄養がでているので、食べないでスープと野菜のネギを食べた。
9:30にKahngさん、Jongik Leeさん、Minho Kimさんの3台の車でKanphando(江華島)観光に出発、私はLeeさんの車に乗ったが、2日前に買った新車だそうで、まだ運転もなれないので、注意深く運転しますといって出発した。
江華島はインチョン空港の北西にあり、インチョン(仁川)市にある。日本は台風19号で大荒れというのに、こちらはまさに日本晴れ土曜日ということもあり、絶好の行楽日和。
島に渡る橋のところで渋滞に遭ったが、1時間半くらいのドライブで島に入った。 最初の見所は干潟、世界4大干潟の一つだという。私は九州の有明海を見ているので、この程度で世界4大干潟にはいるのかと、思うほど有明海に比べると小規模だった。
次に2〜3の教会を拝観した。2つ目の教会は韓国伝統的民家を教会にしたもので、庭の芝生にはハートマークが描かれ多くの観光客がカメラに収めていた。
高麗の王様がモンゴルの来襲を避けるために、疎開したという宮殿を見た。宮殿のなかには伝灯寺という古寺があり、鉄の大きな鐘が珍しかった。途中、湯豆腐まがいの鍋で昼食をとったが、色んな野菜が含まれていた。
織物工場跡は工場の建物が全体カフェとなっており、コーヒーを飲んで昔の映画のポスターや、子供が遊ぶ木馬や、サッカーゲームや、古いイスなど雑多なものが無造作に並べられているちょったした遊園地の役割も果たしているところである。ここのコーヒーは一杯7000ウオンと高いが、入場料も加味されているのであろう。
夕方5時頃となり、観光は終わりかと思ったら、今回の旅の一番の見所が残されているという。
車で15分ほど走ったころ、すすきのゆれる広々とした芝生地に出た。世界文化遺産に登録されている江華 富近里 支石墓(Dolman in Bugeunri Kanwan)と書かれた説明盤がある。 日本の奈良県に明日香村の石舞台があり、飛鳥時代の豪族の墓だといわれているが、あの石舞台の大先輩といえる。 原っぱの入口に2つの住居が展示されているが、 いずれも、縄文時代の生活を表している。
原っぱの一番高いところに、2つの石で、大きな平べったい石を支える形の墓、支石墓とされており、この辺には157支石墓があると説明されている。 あたりは薄暮、空には薄く満月が原っぱを照らし原っぱの周辺には韓国らしい、細い芒がゆれている。
縄文の支石墓照らす秋の月
仁川の支石墓にゆる細芒
江華島観光を終えソウル市内に戻り夕食である。Kahngさんらに案内されたところは都心から少し離れたところであろう大きな近代的なレストランである。多くのお客さんで混雑している。。
30分も待っただろうかようやく入店が許され建物の中に、焼き肉屋である。焼き肉の煙を吸い取る韓国焼き肉屋独特の天井から釣り下がっているパイプ、大きな焼き肉屋だと思ったら、扱うのはアヒルである。アヒルは北京ダックがご馳走とされるが、ここは生の肉を焼く。
コンロで焼けたのをチシャやゴマの葉に巻いて、ダイコンやニラ、ねぎ、を添えて食べる。
淡泊で食べやすく何切れも食べた、最後にはコンロのもとで、銀紙に包まれた焼きいもも供された。 ビール、焼酎とともに楽しんだ。 腹も一杯になった。
このレストランの名は「ドナルド」、大量のアヒルをどのように育てているのだろう。ホテルに戻り、仲間内の囲碁対局、金子さんが3連勝中というので、ストップしようと目論んだが、私のほうが急所で大間違いをし、彼の独走を許してしまった。
第3日
10月13日(日)
7:30朝食に出る。日曜日だし、昨日の店しかあいておらず、昨日と同じラーメン定食を食べた、他の人は辛そうな料理を頼んでいた。 原さん、金子さん、山内さん、和子さんはホテルのバイキングで済ませたようだ。
いよいよ日韓対抗囲碁大会である。日本側は7名、韓国側は10名の参加者。ホテルから2台のタクシーで会場へ10時開店のビルの2階、大きい碁会所である。
韓国側の参加者も次々に集まってくる、10時に集まった顔ぶれはJang 9D、Shin 7.5d Kahng 6.5d Lee 6.5d Jongik Lee 6.5d の5名がAクラス、Park 6.5d Minho Kim 6d、Cho 5.5d 遅れてYang6.5d Jinho Lee 6d CS Kim さんも顔を出してくれた。
日本側は上の4名がAクラス、Bクラス3名
山内 7.5d 、高本 7d、谷野 6.5d 、兵藤 5.5d
木谷 4.5d 、金子 4.5d 、原 3d
人数が異なるので変則の対抗戦である。4局を公式対局とすることになった。
私は1回戦 前哨戦で敗れたShin 7.5d 私の常先 序盤からリードを保っているかと思っていたが、Shinさんは粘り強い、幸いにも私のほうが1目勝ちとなった。
私の2回戦はLeeさん 私の白番、遅れないように打ち進めたが、どうしても地合で追いつかない終始主導権を握られ盤面10目ばかり負けた。
3回戦 Jongik Lee さんに白番中押し勝ちしたが、非公式戦だった。
4回戦 リーダーのKahngさん 私の白番 方々で間違っていただき白中押し勝ち
5回戦は最強Jangさん 私の2子逆コミもらい
Jangさんにはおそらくいままで全敗ではなかろうか、日本の合宿でも勝った覚えがない。淡々と最善手を求めて打ち進めるが次々に白の強手に対応しなければならない。
いつもどこかで大間違いをして負けるのだが、終盤にはいるところで、コウをしかけ黒の優位は動かなかった。盤面3目残して勝利した。
公式戦は3勝1敗、その後も非公式戦を打ちJinho Lee さんには勝利、Choさんには負け。
昼食は隣のビルの中華屋で冷麺を食べた。
夕方6時ごろ全対局が終了、Aクラスは兵藤さんと、私が3勝1敗、その場合年長者を上位にするという韓国ルールで私が優勝、兵藤さんが2位、3位にはShinさんがはいった。
Bクラスのほうは木谷さんが4連勝で優勝、2位はChoさん、3位に金子さん。
夕食は大通りに面した中華料理店、和子さんも観光と買い物からもどり、総勢18名の大宴会、日本側からおみやげの日本酒白鹿たる酒と月桂冠、Choさんの高級焼酎の差し入れで大いに盛り上がった。 個人に渡すおみやげは北海道銘菓「白い恋人」。中川さんから預かった昨年合宿の記念アルバムはKanhgさん、Jangさん、Yangさん、Choさん、MinhoKim さんに手渡した。
和子さんがPoulの形見ですと言って、持って来てくれた10本の棋士揮毫の扇子を韓国の参加者に配っていた。中には50年近く前のものがあり、彼らはそれぞれ揮毫された言葉がどんな意味かと興味を持っていた。
にぎやかな大宴会が終了したのは9時半ごろだった。タクシーに分乗してホテルに戻ってまた囲碁交流対局、Yangさんと1000円かけてやったが、負けてしまった。次もKahngさんがリベンジといって私に挑戦してきた。少し気持ちのゆるみもあってこの対局も負けてしまった。
彼らは地下鉄の最終便を気にして帰宅した。 私は日韓交流に初優勝、喜びよりも長くやっていれば、こういうこともあろうかという安堵感のようなもので、一風呂浴びてベッドについた。
第4日
10月14日(日)
朝食は全員ホテルのバイキング 2000円弱ながら、質の高い朝食バイキング、スクランブルエッグ、ベーコン、ハム、ソーセージ、ヨーグルト、サラダ、すべて旨かった。食後のコーヒーも飲んだ。
朝食後、午前中は自由時間となり、韓国訪問初の山内さんを景福宮に案内すべく参加者を募ったところ、谷野さん、原さん、和子さんも同行、5名で景福宮観光となった。タクシー2台で出発、 木谷さんから景福宮の観光については10時衛兵交代式、10:30日本語によるガイドツアーの情報を得て光化門に向かうと、10時前すでに、衛兵の交代式がはじまっていた。
10時本番として光化門から音楽、旗とともに入場、フルに衛兵交代式を見ることができた。 城壁に囲まれた中心にある勤政殿とそのなかにある玉座を見れば充分なので、その後は場内にある国立民俗博物館を見学、11時から博物館内の日本語ガイドツアーがあるとアナウンスされたので、第3展示室を日本語ガイド美人の中年女性に案内してもらった。
第3展示室は韓国人の普通の人の生活の一生を展示しており、日本との類似点と違いがわかり、興味深かった。午後の観光がホテル12時出発なので、11:30タクシーでホテルに戻った。
12時JangさんとHK Kimさんが車で迎えてくれて2台の車に分乗し、秋の花が美しいフラーワーガーデンに案内するという。車は北漢山のほうに向かっているので、北の方向である。
Jangさんが昼食の店を予約していたようで、郊外のイタリア料理店にはいった。フォカチャ、ピザ、サンドウイチ、グラタンでなくコメ料理、最後にパスタすべて美味で和子さんがすべての料理をほめていた。私も日本人の舌にも合う味だとおいしくいただいた。
昼食後もさらに北東の方角へ走ること1時間、目的地であるアムチコヨ樹木園に到着。樹木園は入場料9500ウオンと韓国くにしては高い。 園内にはいると盆栽があり、秋の花を代表する菊が色とりどりに植えられ、ところどころに、盆栽のように細工された枝ぶりのよい松が配され広い庭園となっている。
菊といっても日本にあるような大輪の背丈の高い菊はなく色とりどりの小菊であった。
菊人形も見なかった。周辺にはホテルやレストランが多いので、ソウルのリゾートだと思われる。
ソウル市内に戻り、いよいよ日韓囲碁交流の最後の晩餐、Jangさんは高級なマイカーであるチェアマンという車に樽酒「白鹿」積んでいた。昨日は1本だけ残してもう一本は今晩のためにとっておいたようだ、おいしいものは一晩で飲むより、2回に分けて飲みたいのだろうか、今夜は自分は車できているから飲めないのにと不思議だった。
最後の晩餐の会場も中華、店の名は漢字ではっきり「東天紅」と書かれていた。
Kahngさんが昔この近くに住んでいてお気に入りの店とのことだった。
7時Parkさんがスーツ姿で登場、2本のワインをテーブルに乗せ、私の会社で輸入しているワインはおいしいと宣伝していた。この店で差し入れが飲めるか知らないが持参したという、早速Kahngが店の主人と交渉し、開栓された。私も少しいただいたが香高いボルドー赤ワインだった。
料理のほうはエビチリや肉ダンゴ、メインの魚料理の魚をKahngさんは英語でRockFishと紹介したが、早速スマホで調べた谷野さんが「めばる」ですと、すると、釣りに詳しい、原さんが「いしもち」説を披露、いずれにせよ高級料理がふるまわれ、締めにジャージャー麺もでたが私はおなか一杯で食べれなかった。私はこの店はParkさんの関係で選んだと聞いたので、その関係を確認したかったが、関係なさそうであった。
また韓国の人たちが日本酒を大事そうに飲むので、訊くと日本酒は高すぎて飲めないということが分かった。関税が高く、酒屋が扱わないのだそうだ。日本土産は日本酒に限ると再確認した。
いよいよ終宴、支払いの段階で、日本人は払わなくてよいという、日本人7、韓国側4というのに、Parkさんが持ってくれるということだった。 金子さんが借りを作ったと行っていたが、私も借りをしちゃいけないと思う。もめごとにしたくないので、追及は避けた。
宴会後もJangさんとKimさんが我々をホテルまで送ってくれ、最後のお別れをした。
共同出費の会計を担当してくれた兵藤さんが収支報告、旅行中の今までの会計報告が円満に終了した。
今夜は日韓交流囲碁でなく、仲間内の消化対局となった。私は山内さん、原さんに負け、4局目谷野さんにも負けとうとう仲間内リーグ戦は4連敗、優勝争いは金子さんの4勝2敗山内さんが3勝1敗で金子さん優勝、山内さんが2位、3位、4位は誰だったろう?
寝たのは2時過ぎ、明日は6時半出発となっている、年寄りが大丈夫だろうか?
第5日
10月15日(火)
6時起床荷物をパッキングしてチェックアウト、リムジンバスより、鉄道が安全ということで、地下鉄から鉄道に乗り換え、インチョン空港に向かうことにした。
スマートチェックイン、スマートバッグドロップという便利で迅速な搭乗手続きを経て大韓航空便で無事帰国した。
総括
27回目の日韓IBM囲碁交流は日本側がだんだん参加者が先細りになる(前回4名、今回8名)今回は初参加者が3名となり、プログラム復活の兆しである。
政治情勢が日韓は最悪といわれるこの頃である。出発前は韓国側がどんな対応をしてくれるか、一抹の不安があった、しかし、その不安は一掃された。
韓国側は実にチームワークよく入れ替わり、立ち代わり、車をだし、囲碁大会には11名の仲間が集まり、我々を迎えてくれた。
私は前回でもうそろそろこのプログラムも終局を迎えそうだと感じたが、今回また聖火が点灯されたような気がする。韓国側もこんな情勢のなか喜んでこのプログラムを盛り上げていきたいと思っていることが確信された。谷野さんの久しぶりの参加、原さん、金子さん、山内さんの初参加が彼らの胸に聖火を点灯させた、そういう27回日韓IBM囲碁交流であった。
記 高本 2019.10.16